『ラストレースへの想い』澁谷 光太郎

【ラストレースへの想い】

9月4日（水）～8日 （日）に全日本大学ローイング選手権大会・オックスフォード盾レガッタが開催されます。熱いご声援をよろしくお願いいたします。4年生全員がレースへの想いを綴りましたので、紹介していきます。

今回の担当は、澁谷 光太郎（政経4・早大学院＝東京）です。

是非、ご一読ください。

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『もがく』

最後くらいかっこいい書き出しにしようかと思いましたがどうせかっこつかないので自分らしく愚直な想いを書いてみます。

コックスのくせに口下手な男がウンウン唸り、アンアン鳴きながら書いた文章ですので拙いですが、ご一読いただけると幸いです。

「かっこいい・強い人になりたい」これが僕が漕艇部に入部した理由でした。高校時代にコーチをしていただいた先輩に憧れて、自分もそうなりたくて入部を決めました。今思えば随分子供じみた理由だったと思います。

強い人になりたくて入部したのにそこで突きつけられるのは自分の弱さ・未熟さばかり。船が蛇行してしまったり、距離計算を間違えて怒られたり。選考で負けたり。温室育ちの僕には中々応えるものがありました。

事実、悪いことの後に良いことは訪れません。悪いことは重なります。苦しい日々は続きます。報われない努力はあります。努力は平気で裏切ってきます。現実は非情です。今まで数え切れない絶望を味わってきました。

しかし、その絶望の度に「もう一度やってみるか」と立ち直らせててくれるのはいつだって誰かからの“想い”でした。僕はこれといって自慢できるものがありませんが出会う人の運だけは自信があります。

減量で干からびている僕に栄養たっぷりの焼きそばパンを笑顔で食べさせてくれる優しい優しい先輩。ここには書けないようなことを叫び、死んだ目・ボロボロの手になりながらも“想い”を日記にしたためる先輩。燻ってる僕を心配して食事に誘ってくれる引退した先輩。夜遅くまで話を聞いてくれ、応援し続けてくれる学院ボート部の同期。いつも楽しい話を聞かせてくれる人。一緒に飯を食べ、風呂に入ってはふざけたことも真剣な話もできる同期。そして減量の心配をしながらずっと支えてくれた父母。また、監督・コーチ・OBをはじめとして多くの支えてくれる人、応援してくれる方々。そんな周りの人々の“想い”に支えられて、だらしなくて弱い僕だってここまでやってこれました。ありがとう。それしか言う言葉が見つかりません。

だからこそ今度は僕が想う番です。最後の最後で人を動かすのは誰かへの“想い”だと信じています。コックスは勝負の瀬戸際で“想い”を力に変えることができるポジションです。

みんなの、寒さに震えながらビデオを撮る朝が、眠い目をこすりながら遅すぎる飯を食べる昼が、減らない体重に焦りを覚える夜が、報われる日が来ますように。いや、自分がそうさせます。

こんな綺麗なことを言っておいてもこれから絶望することは山ほどやってくるでしょう。でもいいです。絶望し慣れましたから。これから何度も絶望して、その度に立ち直ってみせます。

誠意を尽くし、9月8日に早稲田の勝利を想い、未来の早稲田へ繋げる。

これが愚直で口下手な男の最後の『想い』です。