『ラストレースへの想い』荒川 蓮

【ラストレースへの想い】

9月4日(水)~8日 (日)に全日本大学ローイング選手権大会・オックスフォード盾レガッタが開催されます。熱いご声援をよろしくお願いいたします。4年生全員がレースへの想いを綴りましたので、紹介していきます。

今回の担当は、荒川 蓮(国教4・早稲田実業=東京)です。

是非、ご一読ください。

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2011年1月3日、早稲田大学が箱根駅伝で優勝する瞬間を目にし、8歳の私は早稲田スポーツと出会った。父の影響もあり幼少期から大手町で見届けていたゴールも、早稲田が優勝した年のみ肺炎を患い、現地での観戦は叶わなかった。後日、総合優勝を果たした10名の選手と当時の監督、そして主務、その全員の名前が書かれた色紙を手にし、憧れの気持ちを抱いた。その後陸上競技を10年近く取り組むも良い成績とはほど遠く、いつしか当時の気持ちは薄れていた。

2021年5月1日、私が最初に艇庫の門を叩いた日から早いもので3年以上が経過した。恥ずかしいことに当時は、『早慶レガッタ』の存在は疎か、『ボート』という競技が動力を用いるものなのか否かさえ知らなかった。その年もオリンピックイヤーだったが、驚くべきことに東京五輪ではボートの中継を1分たりとも観なかった。艇庫に行く日は1週間に2.3日程度で、当時のカレンダーにはスケジュールを示す『漕艇部』の文字が所狭しと並んでいる。

4年に1度のスポーツの祭典が、芸術の都パリに舞台を移して開催された2024年、カレンダーから『漕艇部』の文字は消え、当たり前のように艇庫で食卓を囲みながら、部員とオリンピックのボート競技を観戦し、あれやこれやと議論を交わしていた。私にとっての非日常は、こんなにも早く日常へと姿を変えた。

「優勝する為には主務が1番全体を見て役割を全うしなければならない。」1年前にあるOBの方からお言葉を頂いた時、私の脳裏にあの色紙の記憶が蘇った。8歳の私が目にした主務という役割を、実際に担う重圧や責任感を感じた。苦悩続きで幾度となく折れそうになっても、最後のインカレで色紙に名前を刻む。そんなわがままが叶うのであればこれ以上のことはない。文句ひとつ言わず活動を陰ながら支えてくれた両親、様々なわがままを受け入れて頂いた3名の監督、艇庫に何度も足を運んでくださった艇友の皆様、そして恵まれた先輩や同期、後輩達との想いを胸に、最後まで、これほど日常に溶け込んだ大好きなボートを追って、声を枯らしながら2,000mを駆け抜けたい。

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