『ラストレースへの想い』新田健

9月8日(木)〜11日(日)に全日本大学選手権大会が開催されます。熱いご声援を宜しくお願い致します。4年生全員がレースへの想いを綴りましたので、紹介していきます。

今回の担当は、新田健(文4・早大学院=東京)です。是非、ご一読ください。

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努力は、報われるという。報われない努力もある。暗闇は、ゆくべき道を見失わせる。

高校生の時に参加した隅田練と早慶戦でのマネージャーの姿がカッコよくて、接戦を制したクルーの姿に感動して、漕艇部の門をたたきました。「日本一の部を支える」。生意気な目標と、根拠のない自信と、溢れる熱意を携えて。

1年生ながら任された仕事に責任を感じ、深夜までマネ部屋に籠って準備を重ねた早慶戦は某ウイルスによって中止になりました。自分より多くの時間と情熱を注いできた先輩方にはかける言葉も見つからず、「来年こそは」と誓うことしかできませんでした。

その翌年、自分たちの力の限りを尽くして挑んだ早慶戦は敗北を喫し、時の主務に「もっと出来ることは無かったのか」と後悔の涙を流させてしまいました。「早稲田の強さは、マネージャーの強さだよ!」と豪語する彼女が率いてきた代だから勝ちたかったのに。ひとり隠れて泣くことしかできませんでした。

数多くの報われない経験は頑張る意味を見失わせ、自分がチームに貢献できているのかも分からなくさせます。気付けば、辺りは真っ暗です。

残念ながらマネージャーをしていれば、いつかはこんな暗闇をゆくことになります。理不尽にも、避けては通れません。

でもね、少し見渡せばボート界隈にはマネージャーという生き物が沢山いるものです。熱意溢れる人も、ちょっと腐っている人も。きまって僕は彼らと飲み、語らい、労い、労われ「あと少しだけ頑張ってみるか」と重い腰をあげるのでした。マネ部屋で更けていった夜は数知れず、他大マネ部屋にもお邪魔して、たまの宵には三密回避よろしく河川敷でなんてことも。いずれも、僕にとって元気づけられ勇気づけられた夜です。

努力しているはずなのに報われない日々をゆく時も、意味を見失い暗闇をゆく時も、ひとりではないです。先輩同期後輩、それに学連のみんなが教えてくれました。

4年生の春、最後の早慶戦で任されたのは対校エイト追行モーターの操縦です。仲間が多くの力を結集して築いた舞台を噛みしめるように発艇地点まで下り、本番を迎えました。レース終盤。応援部が一身に送る「紺碧の空」に包まれ、ゴールの桜橋へと狙いを定めたクルーを追いながら、感極まって泣いてしまいました。高校生の頃から魅せられてきた舞台。僕をマネージャーの世界へと誘ったその舞台で、「やっててよかった」と純粋に思えた瞬間でした。

マネージャーが“報われる”だなんて、たかが知れています。泥だらけになり、程度の低い政治に巻き込まれ、やっとの思いでこさえた舞台も、最後に輝くのは選手です。おいしいとこ、全部持っていかれます。そういうものです。

「それなのにマネージャーやっている意味は?」と問われても、その答えに足る言葉は見当たりません。僕は、この居場所が好きだから続けてきました。尊敬できる人が周りに沢山いたから、負けじと歩んできました。そして、稀に起こる「やっててよかった」と思える出来事が、僕に頑張ることを強いるのでした。

暗闇をゆく後輩がいたら、かけたい言葉があります。

ボート部でマネージャーになる道を選んだことは、絶対に間違っていないです。誇っていいです。

思い悩んだ末に別の道を進むことにしても、この経験はどこかで活きます。意味なんて、きっと後からついてきます。学生生活を捧げてしまった僕自身のためにも、そう信じさせてください。

何の偶然か或いは必然か。半分騙されて入ってきた人もいることでしょう。どうしようもなく理不尽で、求められるのはいつだって“ガチ”。そんなボートの世界に迷い込んできた後輩たちのために、願ってやまないのです。

いつか、みんなにも「ボート部でマネージャーやってて良かった」と思える日が訪れますように。

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